お子さんの卒業式は、これまでの成長を祝う大切な節目です。しかし、そのために数万円もするセレモニースーツを新調すべきか悩む方は少なくありません。「一度しか着ないのにもったいない」「手持ちのジャケットでなんとかしたい」というのが本音ではないでしょうか。
結論から申し上げますと、卒業式に必ずしも「セットアップのスーツ」を着る必要はありません。手持ちのジャケットを賢く着回し、適切なアイテムと組み合わせることで、マナーを守りつつ上品な装いを完成させることができます。
この記事では、手持ち服を活かしてフォーマルに見せる具体的な実践コーディネート3選と、失敗しないためのテクニックを徹底解説します。
卒業式にセレモニースーツは不要?手持ちジャケットが使える理由
最近の卒業式では、保護者の服装も多様化が進んでいます。以前のような「黒のアンサンブル一択」という時代ではなくなり、手持ちのアイテムを組み合わせた「ジャケパンスタイル」や「ワンピーススタイル」で参列する方が増えています。
1.1 セットアップでなくてもマナー違反にならない根拠
卒業式の服装で最も重要なのは、セットであるかどうかではなく「格(フォーマル度)」が合っているかどうかです。上下が別々のブランドや素材であっても、色味を揃えたり、素材の質感を合わせたりすることで、十分に式典にふさわしい正装となります。
学校行事における保護者の役割は、あくまで「主役である子どもを立てる」ことです。清潔感があり、落ち着いた色合いであれば、手持ちのジャケットを活用した着回しスタイルは、むしろ「こなれ感」のある賢い選択として受け入れられます。
1.2 手持ち服を活かすメリット
新調せずに手持ちのジャケットを活かすことには、経済的な理由以外にも大きなメリットがあります。
- 節約した分を、中学・高校の準備費用や、家族での卒業祝いに回せる。
- 自分の体型に馴染んだ服を着ることで、式典中の緊張や疲れを軽減できる。
- 組み合わせるボトムス次第で、式の後も仕事や食事会などに普段使いができる。
このように、手持ち服の活用は非常に合理的で現代的なスタイルといえます。
これだけでフォーマル!手持ちジャケットを格上げする3つの条件
手持ちのジャケットなら何でも良いわけではありません。卒業式という厳粛な場にふさわしく見せるためには、以下の3つの条件をクリアしている必要があります。
1. 色はネイビー、ブラック、グレーのいずれか
卒業式のテーマカラーは「厳粛」と「感謝」です。そのため、ジャケットの色はダークトーンであることが大前提となります。特にネイビー(濃紺)は、知的で上品な印象を与えるため、最も失敗が少ない色です。
ブラックは最もフォーマル度が高いですが、重くなりすぎないようインナーで調整が必要です。グレーはチャコールグレーなどの濃いものを選びましょう。
2. サイズがジャストサイズであること
近年はオーバーサイズのシルエットが流行していますが、卒業式においては「だらしなさ」に繋がってしまう恐れがあります。
肩のラインがぴったり合っているか、袖丈が長すぎないかを確認してください。ジャストサイズのジャケットは、それだけで身体をシャープに見せ、フォーマルな「きちんと感」を演出してくれます。
3. 装飾がシンプルで素材にハリがあること
カジュアルな綿素材や、シワになりやすいリネン素材は避けましょう。ポリエステル混のさらりとした素材や、ウール、ツイードなど、生地に一定の厚みとハリがあるものを選んでください。
また、過度な刺繍や大きなボタンなどの装飾がないシンプルなデザインの方が、他のアイテムと合わせやすく、上品にまとまります。
【実践】手持ちジャケットで作る!卒業式のおすすめ着回しコーデ3選

それでは、具体的にどのような組み合わせが効果的なのか、実践的なコーディネートを3つご紹介します。
1. 鉄板の「テーラードジャケット×きれいめテーパードパンツ」
お仕事用や面談用で持っているベーシックなテーラードジャケットを活かすスタイルです。
- 組み合わせのコツ: ボトムスには、センタープレスの入ったアンクル丈のテーパードパンツを合わせます。ジャケットとパンツの色を同系色(例えばネイビーのジャケットにネイビーのパンツ)で揃えることで、セットアップのような統一感が生まれます。
- ポイント: パンツは脚のラインを拾いすぎない、少しゆとりのあるシルエットを選ぶと、立ち姿が美しく見えます。
2. 華やかさをプラス「ノーカラージャケット×プリーツスカート」
首元がすっきりしたノーカラージャケットは、女性らしく柔らかい印象を与えます。
- 組み合わせのコツ: ボトムスには、広がりすぎない上品なプリーツスカートを合わせます。色はジャケットと同系色のダークカラーにするか、少し明るめのグレーなどを合わせるとお祝い感が出ます。
- ポイント: スカートの丈は膝が完全に隠れるミモレ丈〜ロング丈を選びましょう。座った時に膝が見えないことが、式典マナーにおいて非常に重要です。
3. 上品な知性派「ツイード風ジャケット×広がりすぎないワンピース」
手持ちのシンプルなネイビーや黒のワンピースがあるなら、その上にジャケットを羽織るスタイルが最も簡単で失敗がありません。
- 組み合わせのコツ: ワンピースの上にツイード素材のジャケットを合わせると、素材感のコントラストが出て「ありあわせ感」が消えます。
- ポイント: ワンピースの襟ぐりとジャケットの襟の形が干渉しないよう、首元のラインを事前にチェックしておきましょう。
安っぽく見せない!インナーとボトムス選びのコツ
ジャケットが手持ちのものであっても、インナーとボトムスにこだわれば、全体のクオリティは一気に上がります。
インナーは「とろみ素材」のブラウス一択
ジャケットの中に着るものは、Tシャツやカジュアルなカットソーではなく、必ず「ブラウス」を選んでください。特に、テロんとした落ち感のある「とろみ素材」のブラウスは、シワになりにくく高級感を与えます。 胸元にパールが配置されたデザインや、ボウタイ、控えめなフリルがついたブラウスを選ぶと、ネックレスがなくても顔周りが華やかになります。
ボトムスは「素材感」をジャケットに合わせる
上下が別々の場合でも、素材の質感を似せることで違和感がなくなります。例えば、ジャケットがマットな質感なら、パンツも光沢を抑えたものを選びます。逆に、ジャケットに少し光沢があるなら、スカートもサテンのような艶のある素材を選ぶと馴染みが良くなります。 あえて異素材を合わせる場合は、「ツイード×シフォン」のように、はっきりと質感の違いを見せることで、意図的なコーディネートであることをアピールできます。
小物で仕上げ!スーツじゃないを感じさせない最終テクニック

最後に、全体の印象を「セレモニー仕様」に完成させるのが小物の力です。
- コサージュとパールの魔法: シンプルなジャケットでも、左胸にオフホワイトのコサージュを付け、首元に一連のパールネックレスを添えるだけで、瞬時にお祝いの正装へと昇華されます。
- 3点の「色」を揃える: 靴(パンプス)、バッグ、ベルト(見える場合)の色を黒やネイビーで統一しましょう。先端の小物の色を揃えるだけで、全体のバラバラ感がなくなり、まとまりのある印象になります。
まとめ:自分らしい装いで、最高の卒業式を迎えよう
卒業式で最も大切なのは、高価な新品のスーツを着ることではなく、これまでの日々を感謝し、子どもの門出を心からお祝いする気持ちです。
手持ちのジャケットに、少しの工夫ときれいめなボトムス、そして上品な小物を加えるだけで、あなたは十分立派な保護者としての装いを完成させることができます。無理に新調してストレスを感じるよりも、自分らしく、自信を持って着こなせる一着で、お子さんの晴れ姿を見守ってあげてください。
マナーを守りつつ賢く準備をして、思い出に残る最高の卒業式を迎えましょう。
あわせて読みたい記事
